機能保証(Mission Assurance)とは、宇宙システムのミッションにおける安全性と信頼性を確保するための一連のプロセスや対策を指します。宇宙開発は高リスクな分野であり、機能保証はミッションの成功を支える重要な要素です。ミッション保証と訳されることもあります。
ここで、ミッションとは宇宙システムが果たすべき機能のタスクや責務の集合を意味します。GPS (Global Positioning System)などの測位衛星では、測位信号の送信という機能に必要な、衛星自身の位置決定機能、速度決定機能、姿勢制御機能、地上システムの衛星管制機能などを指します。
NASAの「Space Security Best Practices Guide」では、機能保証に関して以下の2つのセキュリティ要件を定めています。
- 【MI-MA-01】ミッション回復機能(Mission Recovery Function)
ミッションは、宇宙セグメントと地上セグメントにおける異常検知、対応、回復の計画と設計に、ミッションの脆弱性分析と一致する意図的な中断を含めるべきである。 - 【MI-MA-02】サイバーセキュリティ・セーフ状態機能(Cybersecurity-Safe State Function)
ミッションは、安全な故障管理機能とセーフモード運用を設計すべきである。
これらの要件は、ミッション達成が攻撃者によって脅かされた場合に、衛星運用を意図的に中断するために必要な機能と、攻撃から保護された安全なセーフモードを具備することを要求しています。
また、日本においては大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC; University Space Engineering Consortium)が「超小型衛星ミッションアッシュアランス・ハンドブック」を公開しています。このハンドブックは、マネジメントなどセキュリティ以外の観点も含めて、超小型衛星のミッションの成功率を高めるための機能保証の取り組みを解説しています。
機能保証は、宇宙システムのミッションが直面する多様なリスクを管理し、ミッションの成果を最大化するために不可欠な取り組みであり、近年サイバーセキュリティの観点での対策がいままで以上に注目されています。