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サントリーシステムテクノロジー株式会社 様

導入事例

製品や事業ごとに発行されていた顧客IDを統合し、デジタルマーケティングでお客様との距離をさらに縮めるサントリー

サントリーシステムテクノロジー株式会社

サントリーは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた施策の1つとして「顧客起点マーケティング」を打ち出し、その中で、これまで製品や事業ごとに個別に発行・運用してきた顧客IDを「サントリーアカウント」という共通ID基盤に統合しようとしています。この取り組みを支えているのがUni-ID Libraで、基本的な認証・認可機能に加え、改正個人情報保護法を踏まえた同意管理機能などを活用しています。

ここが
ポイント

  • 顧客起点マーケティングの実現に向け、事業ごとにばらばらだった顧客IDを統合し、一元的に管理
  • パッケージを採用したことで、独自に開発していた場合に比べ運用・メンテナンスの負荷を軽減
  • 同意管理機能を活用し、改正個人情報保護法をはじめとする各種コンプライアンスに適切に対応

導入の背景

デジタルの特質を生かしてお客様との距離を縮め、顧客起点マーケティングを推進 

fig-5D4_7846写真左から サントリーシステムテクノロジー デジタルサービス部
スペシャリスト 塩崎 陽三 氏、リーダー 望月 まり恵 氏、リーダー 鈴木 雄貴 氏


酒類に清涼飲料水、健康食品など幅広い商品を製造・販売するサントリーは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みの1つとして「顧客起点マーケティング」を打ち出しています。グループ会社も含めて蓄積してきたデータを分析し、新たな商品やサービスの創出につなげたり、お客様の潜在的な需要を見つけ出すなど、さまざまな可能性を模索しています。

施策の一つとして、テレビCMのようなマス向けのマーケティング戦略だけでなく、デジタルマーケティングにも力を注いできました。Webページはもちろん、LINEやTwitter、Instagramといったソーシャルメディアも積極的に活用してお客様との接点を増やし、距離をさらに縮めようと努力しているところです。

「お客様に、いっそうサントリーのファンになっていただけるような取り組みを進めてきました。デジタルの良さの1つは、データを利用して今まで把握できなかったお客様を定量的に理解できることです。お客様とのタッチポイントを増やし、継続的にコミュニケーションを取り、お客様にとって有益な情報発信していくマーケティングを展開しております」(サントリーシステムテクノロジー デジタルサービス部 リーダー 鈴木雄貴氏)

導入の経緯

商品ごとに発行されたIDが乱立、確実なセキュリティや法規制遵守も課題に

お客様それぞれにマッチした体験を提供するには、お客様をより深く知る必要があります。そのためサントリーでは、オウンドメディア向けに会員IDを発行するほか、商品ごと、事業ごとに個別にさまざまなIDを発行してきました。

しかし、サントリーウエルネスやサントリープラスなど、商品ごと、事業ごとに発行されたIDはそれぞれ独立した状態で、連携が取れていませんでした。同じ一人のお客様がビールを購入し、さらに家族のために清涼飲料を購入しても、同一人物であることが把握できません。「別々のサイロになっているため、同一のお客様を特定できない状態で、お客様に適切なコミュニケーションが取りにくいという課題がありました」(同部 リーダー 望月まり恵氏)

現場はもちろん経営レベルでも、複数の事業をまたいだID統合はサントリーのお客様向けのDX戦略やD2C戦略において不可欠であり、利用者の利便性向上にもつながると考えるようになりました。一方で、情報漏洩事件がたびたび世の中を騒がせ、消費者のセキュリティやプライバシー保護に対する目線が厳しくなる中、より堅牢なID基盤へ刷新する必要性も感じていたそうです。

こうした背景からサントリーは2020年より、ID基盤の統合プロジェクトを本格的にスタートしました。

それまでサントリーは、2000年代前半に構築した会員情報データベースに機能を追加しながら運用していました。しかし、全社に展開する共通ID基盤として活用していくには基本設計が古いと判断し、新たな基盤の検討を開始しました。

一つ目の選択肢は、スクラッチで一からの構築でした。各事業部の個別の要件を踏まえてカスタマイズできると期待したものの、「開発期間が非常に短く、半年という期間で準備する必要があり、非現実的だと判断しました」(望月氏)

残る選択肢は、パッケージソフトウェアを導入するか、SaaSを採用するかです。「お客様の情報を預かるのに十分な稼働品質やセキュリティの堅牢性を担保しながら導入のスピード感も達成するには、パッケージが一番フィットするだろうと判断しました」(同部 スペシャリスト 塩崎陽三氏)

いくつかの選択肢の中から選定したのが、Uni-ID Libraです。会員属性情報の管理や認証・認可といった基本的な機能に加え、CRMなどへの拡張性を備えている点を評価しました。何より、国内のセキュリティ専業会社であるNRIセキュアの製品であり水準以上のサポートが期待できたことに加え、改正個人情報保護法をはじめとするコンプライアンス対応が迅速かつ確実に行えることが大きな決め手でした。「セキュリティ企業が作る製品であり、各種法令やガイドラインへ対応できることもポイントでした」(望月氏) 

さらに、他社で豊富な導入実績があり、パッケージの中に各種APIや画面が用意されているため導入までの期間が短くて済むことも判断の後押しとなりました。 

図:「サントリーアカウント」により、さまざまなサービスのシームレスな利用が可能に

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導入の効果

運用やメンテナンスの負荷を減らしつつ安定稼働を実現、同意管理も活用

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サントリーの統合IDプロジェクトには、各ブランドや事業が強力であるがゆえの難しさがありました。お客様に最適な操作性やユーザーインターフェイスは、ブランドやコンテンツオーナーごとに異なります。こうした個別の要望にどう対応していくか丁寧に調整を進め、技術的に対処可能な部分はテンプレートを変更したり、NRIセキュアと連携しながらカスタマイズを加えていきました。


「分析用データの取り扱いの際には、マスキングを行って暗号化するなど、プライバシーやセキュリティに配慮した形で利用する機能などを追加で開発してもらいました。他にも、お客様が簡単にIDを登録できるような仕組みづくりなど、細かなところまで対応していただきました」(鈴木氏)

こうしてサントリーは、2021年春にサントリーアカウントの運用を開始しました。

サントリーアカウント基盤はオンプレミスではなく、AWS ECSとFargateコンテナ上で運用されています。クラウドの利点を生かしたアーキテクチャ全体の設計により、可用性やスケーラビリティが向上しました。

「過去のID基盤では、継ぎ足し、継ぎ足しでシステムを独力で拡張してきた結果、運用やメンテナンスに少なくない負荷がかかっていた。しかしUni-ID Libraというパッケージへの変更により、運用監視の点で明らかに認証・認可に関わる業務工数は下がっています」(望月氏)

同意管理機能にも助けられています。改正個人情報保護法では、個人情報を預けるお客様の明示的な同意を得ることが求められます。「会員登録の画面に分かりやすいチェックボックスを設け同意を取得する機能や、いつ、どのバージョンの規約に同意いただいたかの情報を管理する機能を使い、お客様のデータを安全に管理しております」(塩崎氏) 

今後の展望

共通ID基盤の整備は第一歩、より多くのサービスを統合しマーケティングを活性化 

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Uni-ID Libraをベースにした共通ID基盤が構築され、「一人一人のお客様を理解し、商品やサービスの開発に活かして価値をお客様に還元していく、サントリーの新しいマーケティングモデル実現の最初のステップがやっと整いました」(望月氏)

サントリーは今後、より多くのサービスを統合してさらにデータを蓄積し、本格的にワンツーワンマーケティングなどに活用していきます。また、お客様により使っていただきやすいサービスへの改良や新たなサービスの開発も進めていきます。

その中で、Uni-ID Libraという堅牢な共通ID基盤が果たす役割は大きいと言います。大切なお客様の情報を預かるシステムとしての絶対的なセキュリティや信頼性に加え、サービス拡大に伴う拡張性にも期待しているそうです。「今後サービスを広げ、登録ユーザーを増やし、使い方も進化していくとアクセス負荷も増えていくでしょうが、その中でも安心して頼れる基盤であり、いっそう活用していきたいと考えています」(塩崎氏) 

※本文中の組織名、職名、概要図はインタビュー当時のものです。(2022年10月)

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