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カシオ計算機株式会社 様

導入事例

顧客IDを統合管理し、デジタルマーケティングを積極展開|CASIO IDが、良質な顧客体験を実現するベースに

カシオ計算機株式会社

「G-SHOCK」をはじめとする時計、電卓、電子辞書、楽器などグローバルで幅広い製品を展開するカシオ計算機株式会社(以下、カシオ)では、得意とする「もの作り」とサービスを通じた価値提供のなかで「顧客との距離が遠い」という課題を抱えていました。オンラインの情報提供や直営ECにも力を入れてきましたが、「カシオメンバーズ」で統合した国内の顧客情報基盤と、ECサイト「e-CASIO」の基盤が分かれていた上、海外はリージョンごとでの個人情報管理に対応しなければならないことなど、システム面での対応が複雑化してきました。そこで「カシオ全社で保有する顧客IDの統合管理」と「グローバルな法規制を遵守」する共通ID基盤を構築するために「Uni-ID Libra」を採用。顧客それぞれに合わせたデジタルマーケティング活動を展開し、よりよい顧客体験を届ける土台を整備しています。

ここが
ポイント

  • CASIO IDを通して顧客との距離を縮め、積極的なデジタルマーケティング施策を展開して顧客体験の向上を実現
  • GDPRをはじめとするグローバルなプライバシー規制に遵守できる顧客管理基盤を整備
  • 海外リージョンごとに個別に管理してきた顧客情報を1つのID基盤で統合的に管理し、多様なサービスと連携

導入の背景

「顧客との距離が遠い」という課題への打開策

case-casio-fig02写真左から デジタル統轄部 D2C戦略部 データプラットフォームグループ 青木 順子氏
デジタル統轄部 D2C戦略部 コミュニケーションプラットフォームグループ グループマネージャー 笹沢 啓太氏

 

根強いファンを持つ腕時計「G-SHOCK」をはじめとする、電卓、電子辞書、楽器など幅広い製品を展開するカシオ。しかし、多様化する市場環境のなか顧客との距離が遠い課題を埋めきれずにいたという。

そこで、かつては製品ごとに分かれていた顧客管理基盤を「カシオメンバーズ」に統合し、アフターサービスに活用し始めた。しかし、直営ECサイト「e-CASIO」ではまた異なる顧客管理基盤を構築、運用しており、「互いに接点がなく、それぞれメールマガジンを提供するなど連携ができていませんでした」と、同社デジタル統轄部D2C戦略部コミュニケーションプラットフォームグループ グループマネージャー 笹沢 啓太氏は振り返る。さらに、海外での顧客管理も北米、欧州など拠点単位で別々に行っていた。

この結果、「全体としてみると開発や運用工数が無駄になりますし、お客様情報がバラバラに管理されるため、データ活用におけるノウハウもたまりません」(笹沢氏)という問題意識を抱えていた。その打開策として、新たにグローバルな共通ID基盤「CASIO ID」を構築し、デジタルマーケティング活動を積極的に展開する方針を定めた。

 

case-casio-fig01

導入の経緯

NRIセキュアは多くの実績と専門性を持ち信頼できることが選定の後押し

販売からアフターサービスまでをカバーする共通ID基盤を構築して顧客の情報を統合し、運用管理を一元化しつつ、個別に行っていたマーケティング活動も共通ID基盤をベースに本社主導で展開していこう——この戦略を具現化する基盤としてカシオが採用したのが「Uni-ID Libra」だった。

「ID基盤は、構築後も中長期的に使い続けることになる基盤ですから、慎重に選定を行いました」。クラウドベースのID管理基盤やCIAM(顧客向けアイデンティティ・アクセス管理)製品も含め、さまざまな選択肢を検討する中でUni-ID Libraが浮上した。

「最初に重視したのはコストです。物売りだけでなくサブスクリプション型サービスの拡大も視野に入れると、IDごとの単価が高いソリューションでは維持が難しいと考えました」(笹沢氏)

汎用性も重視した。「カシオはさまざまなデバイスを展開しており、この先、従来型のシンプルなWebサービスだけでなく、スマホアプリやデバイス独自のコンテンツなども展開していく可能性があります。先が読めない中、変化に柔軟に対応できることも選定のポイントとなりました」(笹沢氏)

何より大きなポイントは、セキュリティ分野におけるNRIセキュアの実績だったという。顧客情報はカシオにとって大きな財産だが、サイバー犯罪者にとっても価値あるターゲットとなる。「グローバルの顧客情報を本社主導で管理する場合、万一インシデントが発生すると、経営を揺るがす深刻な問題になります。その点NRIセキュアは、セキュリティの専門会社として多くの実績と専門性を持ち、信頼できることが選定の後押しになりました」(笹沢氏)

こうした要因からUni-ID Libraを採用することに決定したが、プロジェクトで苦労したのは仕様策定のステップだった。カシオが展開する多様なプロダクトが関わるだけにステークホルダーも非常に多く、法務調整も不可欠で、社内コンセンサスを得るのに時間を要したという。「そんな中NRIセキュアには、方針転換があっても対応でき、プロジェクトを円滑に進めやすい汎用的な提案をいただきました」(笹沢氏)

「こちらが細かく仕様まで落とし込まなくても、大まかに方針を示しておけば、NRIセキュアが『こんな方法があります』とパターンを提示してくれ、相談しながら作っていくことができました。プロジェクトマネジメントにおける安心感は大きなものがありました」(青木氏)

導入の効果

CASIO IDがDXに向けた変革の中心となっていることを実感

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こうしてG-SHOCK向けスマホアプリ「G-SHOCK MOVE」を皮切りに、CASIO IDの本格活用がスタートした。その後も、アシックス社と共同開発した「Runmetrix」など、CASIO IDをベースとしたサービス群は広がっている。

2021年4月には、カシオメンバーズとe-CASIOもCASIO IDのサービスの1つとしてリニューアルされるなど、活用場面は拡大を続けている。「CASIOオンラインストアで買い物をし、その流れで製品登録を行ってサポートを提供していくという形で、すべてが連動する形を実現できました」(笹沢氏)

カシオのユーザは世界中にいる。そのためCASIO-IDには様々な国や地域のユーザが登録されている。グローバルの顧客情報管理に当たっては、同意取得画面などを整備して、EU域内のGDPR、米国のCOPPAなど、世界各国が定めるプライバシー関連の法律を遵守・対応していけるシステムを目指している。

「どの国もGDPRに追随する形でプライバシーに関する規制を厳格にしつつあるため、対応には苦心しました」というのが笹沢氏の率直な感想だ。ただ、NRIセキュアがカシオと一緒に海外展開に力を入れ、グローバルのセキュリティ要件をUni-ID Libraに組み入れていく方針を示したことが、安心材料の一つになった。

こうしてカシオは、CASIO IDをベースに、DX、デジタルマーケティングの取り組みをいっそう加速させていく方針だ。

「今までのカシオはお客様との距離が非常に遠かったのですが、ワンツーワンで直接つながるID基盤ができたことでそれが変わろうとしています」(笹沢氏)。CASIO IDを中心にユーザーデータベースを構築することで、顧客の行動情報や利用しているアプリ、購買履歴といったさまざまな情報を一元管理することが可能になった。こうした情報を基に、個々の顧客によりマッチした情報を提供し、ファンを増やしていくシナリオを考える専門チームも組織されている。

「この1年あまりで、デジタルマーケティングを積極的に展開しようという機運が急速に社内でも高まっており、DXに向けて変革していることを感じています。CASIO IDがその中心となっている実感があります」(笹沢氏)

今後の展望

新たなサービスを積極的に展開し、良質な顧客体験を提供していきたい

カシオは今後、CASIO IDをデジタルマーケティングの基盤として活用することで、購入からアフターサポートまで幅広い領域にデータを生かせる可能性があるという。

「製品とアプリがつながり、故障予知などの新たなサービスの創出や、得られたデータを製品開発にフィードバックしていく可能性も見え始めた。」(笹沢氏)

そして、CASIO IDをベースに攻めのIT戦略を展開するには、守りがしっかりしていなければならない。

「ID基盤は構築したら終わりではありません。お客様にIDを登録してもらい、活用していただくことで企業はメリットを得られ、お客様もより豊かな体験ができます。今後もCASIO IDをグローバルに広げて新たなサービスを積極的に展開し、良質な顧客体験を提供していきたい。お客様の情報を守っていく上でNRIセキュアの知見やノウハウ、テクノロジーに期待しています。」(笹沢氏)

※本文中の組織名、職名、概要図はインタビュー当時のものです。(2021年12月)

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