UN-R155とは、車両のサイバーセキュリティ及びサイバーセキュリティ管理システム(CSMS)を定めた国連のサイバーセキュリティ法規のことです。セキュアな自動車を開発するための体制とプロセスについての要件(Requirement)が書かれており、UN/ECE(国連欧州経済委員会)の作業部会WP29(自動車基準調和世界フォーラム)で策定され、2021年1月22日に発効されました。
UN-R155がこれまでの自動車の型式認証に関わる法規と異なる点は、型式審査の前段階として、車両を製造する企業が適切なプロセスを持つことを示す「CSMS適合証明」が必要としている点です。サイバーセキュリティについて十分な性能があることや、その判定基準の全てを数値化することは難しいため、代わりに適切と認められたプロセスを経て設計・開発された製品であることを示す証拠(設計文書)が求められます。このプロセスを細かく要求事項としてまとめたものがUN-R155です。
図:自動車のサイバーセキュリティを審査する2つのステップ
日本は諸外国の中でもこのUN-R155にいち早く対応し、発効後すみやかに国内で施行しました。また、2022年7月より自動運転(レベル3以上)や無線によるソフトウエア更新機能をもつ新型車を対象に適用されています。
なお、UNR-155と同時にUN-R156も発効しました。UN-R156では、車両のソフトウェアアップデート及びソフトウェアアップデート管理システム(SUMS)が定められています。