入社4年目のことだ。私が担当していたSecurePROtechtサービスの共通基盤システムの更改が実施されることになった。私はすぐにプロジェクトマネージャー(PM)を志願した。実はこの更改は、上司との半期ごとの個人面談の際に私が進言していたものだった。それを会社が業務計画として具体化した。「私がやらずに誰がやる?」――そう思った。しかし、クラウドを始め新たに導入する技術が多く、また、開発手法としてもアジャイルを採用するなど、プロジェクトは高度で規模も大きかった。しかも、私はまだ入社4年目だ。アプリケーション開発、サーバー、ネットワークと分けたグループの各リーダーも、全員が私より年次が上で経験も知識も勝っていた。プロジェクトを円滑に進めるためには、各リーダーやメンバー全員が納得できる方針を示さなければならない。それまでの3年間、方針はリーダーや先輩が決めてくれた。しかし今度は自分が決めなければならないし、受け入れてもらうためには明確な理由付けがいる。「なぜそうするのか?」と聞かれた時に、論理的に説明ができなければならない。今度は勉強というより、相手を想定して考え、コミュニケーションを取ることを日々心がけなければならなかった。幸い開発業務はスケジュールどおりに完了。この経験は、その後のさまざまな開発プロジェクトや大型案件のPMを担当する際に大いに役立つものとなった。