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Dialogue

私たちが
大切にしてきたもの。

研究主幹

大貫 秀明

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大学院での専攻は制御理論。研究室メンバーの多くが自動車業界や電機メーカーに就職する中、幅広いプロフェッショナルを輩出しているNRIを選んだ。1991年に入社し、2000年のNRIセキュア設立時に合流。コンサルティング事業本部長などを経て、2021年より現職。

研究開発センター長

佐藤 健

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大学院で半導体工学を研究する傍らネットワークやプログラミング技術を習得。1999年NRIに入社しセキュリティ専門チームに配属。その翌年NRIセキュアの設立と同時に出向。株式会社ユービーセキュアの代表取締役社長、DXセキュリティ事業本部長を経て、2021年10月より現職。

野村総合研究所(NRI)の社内ベンチャー第1号として発足し、
2000年にNRIセキュアテクノロジーズが誕生しました。
当時の志と文化が今もしっかり根づいていると語る会社設立メンバーの2人が、
これまでとこれからを語り合いました。

新会社の立ち上げに、
25人の精鋭が集った

― まずは、お二人のセキュリティ技術との出会いからうかがえますか?

大貫

私が入社したのは1991年。最初はR&D部門に配属され、オブジェクト指向開発といった当時の最新技術を実際のプロジェクトに適用するための研究に携わっていました。2年ほどして次のテーマとして暗号技術の研究を進めていた折、インターネット利用の急拡大やPCのオープン化/分散化などを背景として、情報セキュリティに対するニーズが高まり、社内案件のセキュリティ支援や、電子現金の実証実験、通産省(現在の経済産業省)が始めた電子取引の実証実験などに参加することになりました。1999年に金融監督庁(現在の金融庁)の要請で金融機関が一斉にセキュリティポリシーを作ることになり、そのご支援をしました。今の「セキュリティコンサルタント」の原型は、このとき生まれたと思います。

佐藤

私はその1999年に入社しました。最初の配属がまさにセキュリティの専門チームで、1995年に社内ベンチャー第一号で立ち上がったビジネスユニットでした。当初は4人でスタートして、私が入ったときには10人程になっていました。このチームの執務エリアだけ壁で囲われていて、まだフロアの行き来が自由な時代に指紋認証で入るようになっていました。窓の外から盗み見られてはいけないと、昼間でもブラインドを降ろしている。先輩たちの机はサーバに囲まれていて、とにかく暑い。新入社員には何とも衝撃的でした(笑)。

― その翌2000年にNRIセキュアが誕生しています。どのような背景が合ったのでしょう?

大貫

会社設立の前は、私は別の部署にいましたけど、佐藤さんたちの事業が急拡大していく様子は見ていました。今後ますます成長する見込みがあったため、分社化して意思決定を早めようという経営判断だったようです。そこに私たちコンサルティングを担当するメンバーも合流して会社設立に至りました。その後さらにNRI社内で有志を公募したところ、NRIの人事部が慌てるほどのエース級社員が集まりました。これからセキュリティが重要になるとみな確信していたのでしょうね。総勢25名での船出となりました。

佐藤

入社当時から技術力の高い人たちに囲まれていると思っていたので、「まだいるのか!」と2度目の衝撃でした(笑)。それでもやはり小さな組織ですから、なんでも自分たちでやらなければならない。サーバを組み立て、配線してというところからの作業でした。でもその傍らで新しい事業アイデアがどんどん出てきて、気がついたらもうリリースされている。当時私はファイル転送サービス「クリプト便」の初期開発に携わっていましたが、ものすごいスピードで会社が走り出したぞと感じました。

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20年の成長を支えてきた
技術者スピリッツ

― 当時は会社の成長をどのようにとらえていましたか?

大貫

当時はとにかく無我夢中でした。目の前にやりたいこと、やるべきことがたくさんあって、正直ゆっくり振り返ることもなかったですね。それでもやはり自分たちの会社だという高揚感があったので、全く苦痛ではなかった。当時は、組織の壁などはもちろんなく、全員の顔が分かるので、誰が何をやっているか、どこで苦しんでいるのかなど全員で共有できていました。裁量も大きく、すべてが“自分ごと”で、全員が経営者になったつもりで仕事をしていました。

佐藤

忙しくはありましたが、何よりも仕事が楽しかったです。お客様に提案して帰ってきたらすぐに自分で開発して、メンバーを取りまとめながら運用業務も行うなど、幅広い業務に携わっていました。同期が何年もかけて経験することをたった一年で学べるのだから、自分は恵まれた環境にいるのだととらえていましたね。

大貫

状況的に一人で何役もこなすしかなかったのですが、それを実際にやりこなせるメンバーでした。そして一人が複数の得意分野を持とうとする姿勢は今も引き継がれていて、NRIセキュアの強さの根幹になっていると思います。

佐藤

苦い経験もありました。若手の頃、自分で開発を行ったあるサービスをお客様に提案する機会があり、自分が一番詳しいという気持ちが強いあまり、お客様の要望をまず受け止めてからお応えするという姿勢が全く欠如していました。案の定失注となりましたが、当時の上司は一言も私を責めませんでした。それが逆に私を猛省させてくれました。技術で一流になりたいならお客様に対しても一流でなければならない、そう思えた出来事でした。

大貫

誰かに言われてやるのではなく、個々人が高みを目指す中で選び取ってきた姿勢。我々の大切な文化ですね。会社が目に見えて大きくなっていくのも高いモチベーションとなっていました。ただ事業は順調でも、働く社員たちがいつまでも以心伝心で全力疾走というわけにはいきません。人が増えればそれだけ意思の疎通も難しくなるし、個々人の能力差も当然広がっていくので、育成の仕組みを整え仕事の平準化も図らねばならない。走りながら組織としての体制を整えていきました。

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守るべきもの、
変えていくべきもの

― 創立20周年を迎えたNRIセキュアがこれからめざすところは?

佐藤

私の考えとしては、一つはグローバルです。海外でビジネスを展開するお客様からはセキュリティをグローバルで統一的に提供することが求められています。すでに我々も北米支社を設立するなどグローバルでの提供体制を整えており、今後海外比率を高めていくことは間違いないと思います。もう一つは社会への直接的な貢献。我々はこれまで企業というお客様を通じて安全安心を提供してきましたが、社会の隅々でセキュリティが必要となってきている現状を踏まえれば、より積極的に活動していく必要があります。すでにテレワークのガイドライン作成などに携わっていますが、今後さらに様々な領域における社会のルール整備に貢献できればと思います。

大貫

私も同感です。これまで業界をリードしセキュリティの最先端を担ってきたNRIセキュアだからこそ、果たせる社会的役割があると思います。昔ある先輩が「セキュリティの最終的な目標は、その存在を感じさせない安全な世界」だと言っていました。今はクラッカーとの攻防などセキュリティ事件や事故で注目されがちですが、あくまでも社会のインフラとして整備されることが目標。社会の安全安心を支える縁の下の力持ちでありたいですね。

― 次の20年に向けて、守るべきものと変えていくべきものは?

佐藤

守るべきは、挑戦する文化です。組織が大きくなれば自然と失われがちですが、奇しくも設立メンバーに名を連ねた者の責任としてこれは何としても守り続けたい。そして変えていくべきは、事業スタイル。私たちは専門家集団としてすべてを自分たちで完結させるスタイルをとってきました。もちろんそれが大きな強みであったのですが、今後さらに成長をめざす上では、注力すべき箇所を見極め、様々な変化に対応できる柔軟性も必要です。様々なビジネスパートナーとつながりながら、私たちの力を広げていくべきだと考えています。

大貫

私たちが一番大切にしてきた技術や専門性へのこだわり。これは絶対守り続けてほしいと思います。ただ、私たちの時代は自分の納得のいくまで仕事をし続けることが一つの成長手段だったけれども、今はそうではない。どのようなかたちで一人ひとりが自分の壁を乗り越えていくのか、その環境づくりが急がれていると感じます。組織的な技術戦略や、長期目線での技術投資を実施するために、研究開発センターを設立し体制整備に取り組んでいます。

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同志よ、来たれ。

― 最後に、セキュリティ専門家を志す学生たちにメッセージをお願いします。

大貫

会社設立時から、風通しの良さを大切にしてきました。部署や役職に関係なくお互いに一人の専門家として尊重し合い、能力を活かし合える職場です。自由さやスピードも同様です。自分でやりたいと思えば手を上げてすぐにチャレンジできる。極めたい分野があるならセキュリティに限らずトライすれば良い。ここで誰にも負けないあなたならではの専門性を身に付けてほしいと思います。

佐藤

会社を選ぶにあたっては様々な志望理由があると思いますが、セキュリティやITに対して興味があり、それが面白い、好きだと思える方に来ていただくのが一番だと思います。仕事だから当然辛いことや苦しいこともりますが、好きであれば必ず乗り越えられると、自分の経験から思います。このサイトのテーマにもあるように、この会社で夢中になれるものを見つけて、とことん楽しんでいただけたらと思います。皆さんのチャレンジをお待ちしています。

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