
AI時代のクラウドセキュリティ提案では、「製品機能の優位性」ではなく「顧客のビジネス成果」を語れるかが成否を分けます。本記事は、クラウドセキュリティベンダーWizのプリセールス研修「Wiz Magic Camp」(2026年6月・バンコク開催)に参加したNRIセキュアの営業・SEが、価値検証(PoV)や本質課題を引き出すヒアリングの実践知を現場視点でまとめたレポートです。
舞台はバンコク!世界トップクラスの熱気に包まれたイベント概要
まずは、今回私たちが参加した「Wiz Magic Camp」の全体像についてご紹介します。
バンコクで開催された本イベントは、日本、インド、シンガポール、オーストラリアなど、APJ(アジア太平洋・日本地域)各国から集結したWizのメンバーやトップパートナーたちの熱気で満ちあふれていました。
このイベントは、Wizの社内研修の仕組みをパートナー向けに開放したような構成になっており、机上の空論ではない「明日からの提案に直結するワークショップ」が、分刻みのタイトなスケジュールで組まれていました。
製品機能のアップデートをキャッチアップするだけでなく、世界中の最前線で戦うプリセールスたちが実践している「顧客の真の課題を引き出すプロセス」をそのまま自分たちの血肉にできるのが最大の魅力です。
タイムラインとしては、SEがDay0〜Day3の全日程、営業がDay1〜Day3というスケジュールになっており、Day0が技術に特化した「Tech Session」、そしてDay1〜Day3がビジネスや提供価値にフォーカスした「Sales Session」という構成になっています。
ここからは、技術のディープな領域から提案の本質までを追体験した4日間の軌跡を、「SE」と「営業」それぞれの言葉で振り返っていきます。

確かな価値を証明する「Wizプロセス」の体感
(SE:大島)
まずは私、SEの立場から、初日のテクニカルセッションから後半の営業セッションまで、全日程を通して得た「技術とビジネス視点の融合」についてお話しします。
SE単独で行われたDay0は、まさに技術にフォーカスした内容。急速に普及するAIエージェントに潜む新しいリスクや、それをマシンスピードで防御する仕組みについて深く学びました。
そして、その一環として開催されたのが、セキュリティの技術コンテストである「CTF(Capture The Flag)」です。
これまでの業務で培った知見をフルに活かして難問に挑み続けた結果、なんとパートナー企業の中で「第1位」の成績を収めることができました。世界中からトップクラスのエンジニアが集まる中でのこの実績は、大きな自信に繋がりました。

しかし、この研修の真の価値はWizの技術を学ぶことだけではありません。Wizのプリセールスとしてのプロセスを体験して最も印象深かったのは、「価値検証(PoV/Proof of Value)は、単なる機能の合否判定テストではない」という思想です。
特に、実際の評価に入る前にお客様の現状を深くひも解くために、PPTE(People、Process、Technology、Experience)のアプローチで徹底的にヒアリングして整理します。分断されがちなセキュリティ部門と開発部門の間に、私たちSEがハブとして共通の議論の場を創り出します。その上で、不要なアラートノイズを大きく削減する具体的な成功基準を定義し、実際の環境で証明していく——。
この確実なステップが、現場に混乱をもたらさない次世代のセキュリティ導入のあるべき姿だと思いました。
さらに、Day1から営業担当と合流して受けた「営業・ビジネス研修」は、SEの私にとって非常に学びが大きかったです。
エンジニアはつい「Issueによる相関分析やSecurity Graphによる可視化が…」といった機能の優位性を語ってしまいがちです。しかし、トレーニングを通じて、その機能によって組織にどんな価値が生まれ、ビジネスにどう影響し、最終的に経営層が求めるどんな成果に繋がるのか、という「So What?(だから何なのか?)」を突き詰めて翻訳する重要性を徹底的に学びました。
1対1のロールプレイングでは詳細な製品説明を封印し、「お客様が得られるビジネス成果」の観点だけで会話を組み立てるトレーニングを立て続けに行いました。
これは、SEとしてのマインドセットを大きく変えてくれたと感じます。お客様の事業方針を深く調査した上で「価値仮説」を提示し、技術的な裏付けを持ってお客様と共に未来を設計すること。
これこそが、これからの時代にSEが持つべき「真のビジネス視点」なのだと強く実感しました。
自分のための好奇心と相手のための好奇心
(営業:江川)
ここからは営業の立場から、改めて自分のふるまいを見直すきっかけとなった「聞く力」について書こうと思います。
お客様とお話しする際に「相手の話をよく聞こう」というのは、新人研修で耳にタコができるほど聞かされてきた話です。ですが、今回のトレーニングで「聞く力」について改めて再定義されました。
まず、これまで営業の力は、二つの軸で語られてきました。
ひとつはIQ、つまり製品知識や業界知識、頭の回転。もうひとつは EQ、空気を読む力や共感力、人当たりの良さです。ですが、「トップ営業を分けているのは、CQ(Curiosity Quotient:好奇心指数)だよ」という話がとても印象深かったです。
その好奇心にも、二種類あるそうです。ひとつは Selfish Curiosity、つまり自分のための好奇心。例えば「脆弱性管理で何かお困りごとはありますか?」という質問。一見普通のヒアリングに見えますが、心の中では「Wizを売るネタを探している」。これが Selfish な好奇心です。
一方、トップ営業はこう聞くそうです。「その課題は、来期の事業計画にどう影響しそうですか?」「工数が減るとチームの雰囲気ってどう変わりますか?」。この質問には、売る意図が透けていません。だから顧客も、身構えずに本音を話し始める。これが Selfless Curiosity、相手のための好奇心です。
そしてトレーニングでは、聞き方には二つのモードがあると教わりました。
ひとつは Listen to Learn、学ぶために聞くモード。顧客の話から、次の質問が自然に生まれてきます。
もうひとつは Listen to Sell、売るために聞くモード。台本通りの質問が並び、次の一手の条件を整理するモード。
研修では有名なTED Talkを引用してこんなお話もありました。「多くの人は、理解するために聞いているのではなく、返答するために聞いている。」
Wizはいい製品であるがゆえに製品の良さに頼りがちですが、明日からは、「自分のための好奇心」ではなく、「相手のための好奇心」を大切にしていきたい。耳が痛い話ではありましたが、改めて背筋が伸びる貴重な時間でした。

NRIセキュアがこれからお客様への支援に活かすこと
今回のMagic Campで、Wizの洗練された内部プロセスを営業・SEがそれぞれのフェーズで体験し、得た学びを持ち寄ったとき、NRIセキュアとして提供できる「新しい伴走型支援」のカタチが見えてきました。
私たちは、単に「優れたツールをお届けするベンダー」にとどまるつもりはありません。お客様のマルチクラウド環境やAI活用を安全にスケールさせるため、以下のような価値の提供に努めます。
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営業×SEが一体となった「ビジネス推進型」の提案
「製品の機能が優れているから」ではなく、お客様が目指す「開発・リリースの高速化」や「事業拡大に伴うリスクの低減」といった経営課題に直結するセキュリティ投資の価値を、営業とSEが共通の言葉でご提案します。
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TCO(総所有コスト)を意識した現実的な目利き
ライセンス価格の表面的な比較だけでなく、導入によって「現状のツールをどれだけ最適化できるか」「運用の工数をどれだけ減らせるか」を含めた、全体の投資対効果でお客様の最適な意思決定を支援します。
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現場に根付く「セキュリティの民主化」の実現
セキュリティの情報を専門部門だけに閉じ込めず、開発者(デベロッパー)にも分かりやすく届けることで、組織全体で自律的にリスクを低減できる世界観の構築を、高度なシステム連携やプロジェクト設計まで含めてトータルで支援します。
おわりに
朝から夕方までみっちりワークショップを行い、夜はWizのメンバーや他国のパートナー企業の皆様と遅くまでネットワーキング、さらにはバンコク市街を楽しむという、非常にタイトでエネルギッシュな4日間でした。

NRIセキュアはこれからも、最先端のセキュリティソリューションの価値を最大限に引き出し、お客様が安心・安全に、自由なイノベーションを推進できるよう、営業とSEが一丸となって全力でサポートしてまいります。
クラウドセキュリティやAIセキュリティの運用でお悩みの方、Wizに興味を持たれた方は、ぜひお気軽にNRIセキュアまでご相談ください。













