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AI時代に金融機関が備えるべきサイバーセキュリティ対策|NRI Secure Finance Forum 2026 レポート

目次

    AI時代に金融機関が備えるべきサイバーセキュリティ対策|NRI Secure Finance Forum 2026 レポート

    NRIセキュアは2026年6月26日、金融機関を対象としたイベント「NRI Secure Finance Forum 2026」を東京ステーションホテルで開催しました。
    株式会社Armorisの鎌田敬介様による基調講演をはじめ、金融機関の実務担当者と有識者が登壇。フロンティアAIの進展、PQC(耐量子計算機暗号)への移行、サードパーティリスク管理、脅威ハンティングなどをテーマに、現場の課題と実践的な対応策を議論しました。
    本稿はその要点をレポートします。 

     パネルディスカッション|金融サイバーセキュリティの現在地|現場担当者が語る課題と対策 

    登壇者

    登壇者

    「【現場の本音】金融サイバーセキュリティの現在地~理想と現実、そのギャップとは~」と題して、Armoris、アフラック生命保険、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三井住友フィナンシャルグループ/三井住友銀行の各社のサイバーセキュリティ担当者をお招きし、NRIセキュアの有識者を交えて議論しました

     

    まずは、金融セキュリティの現場で注目されているテーマについて伺いました。フロンティアAIへの対応は各社共通の関心事として挙げられた一方で、PQC(耐量子計算機暗号)への移行対応、フィッシングやランサムウェア、サードパーティリスク管理など、従来からの重要課題も引き続き現場の大きなテーマとなっていることが示されました。

     

    加えて、サイバーセキュリティが経営に近いテーマとして扱われるようになってきた点も、近年の大きな変化として共有されました。以前は年に一度の報告にとどまっていたようなテーマも、経営層と継続的に議論する機会が増えており、サイバーリスクが金融機関の経営課題として定着しつつある様子がうかがえました。

     

    後半では、AIやPQCなど新しい技術への向き合い方について議論が及びました。特にAIについては、単純に利用を制限するのではなく、活用を前提に最低限のガードレールを設け、監視と改善のサイクルを早く回していくことが現実的な対応として示されました。

     

    また、実際に導入して有効だった取り組みとして、クラウド化による管理性の向上や、TLPTを通じた実環境での検証が挙げられました。製品やサービスを導入するだけでなく、それが実際に機能しているかを確認し、検知・対応・アクセス管理などの弱点を可視化することが、セキュリティレベルの底上げにつながるとの意見が共有されました。

     

    最後に、サイバーセキュリティの領域は、AI、脅威ハンティング、インシデントレスポンスなどへ広がり続けており、単一の部門や一人の専門家だけで対応することは難しくなっています。パネリスト間では、各領域の専門家が連携し、一つのチームとして課題に向き合うことが、今後の金融サイバーセキュリティに求められる姿勢であるとの認識が共有されました。

    鎌田 敬介様(Armoris・金融ISAC)

    鎌田 敬介氏(Armoris・金融ISAC)

    加藤 知枝様(アフラック生命保険株式会社)

    加藤 知枝様(アフラック生命保険株式会社)

    常見 敦史様(三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社)
    常見 敦史様(三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社)
    木村 匠(NRIセキュア)

    木村 匠(NRIセキュア)

     基調講演|AIがもたらす攻撃の高速化と、防御側に求められる対応スピード 

    基調講演では、鎌田様が「AIがサイバーセキュリティにもたらす高速化時代における光速化の秘訣」と題して登壇されました。

     

    鎌田様は冒頭、フロンティアAIの性能向上により、攻撃者が脆弱性の探索や攻撃手法の検討をこれまで以上に高速に進められるようになっている現状を説明しました。特に、AIの普及によって脆弱性情報の収集から攻撃実行までの時間が短縮されるなか、防御側には従来以上の対応スピードが求められており、サイバーセキュリティは技術部門だけでなく経営として向き合うべき課題になっていることを指摘しました。

     

    また、防御側において、従来のスピード感では対応が難しくなりつつあることを踏まえ、完璧な体制を整備するのではなく、現状に即して優先順位を明確にし、対応をいかに高速化するかが重要であると述べました。

    講演の結びでは、金融機関がAI時代のサイバーセキュリティに向き合ううえで必要な姿勢について、実践的なメッセージが示されました。

    鎌田 敬介様(Armoris・金融ISAC)

    AIがサイバーセキュリティにもたらす高速化時代における光速化の秘訣

     ゲストセッション|脅威ハンティング組織の立ち上げと運用|検知困難な攻撃への備え 

    ゲストセッションでは、三菱UFJ銀行における脅威ハンティング組織の立ち上げから運用までの実践的な取り組みが紹介されました。近年のサイバー攻撃は、正規ツールの悪用や長期潜伏など、従来のアラート対応中心の監視では検知が難しい手法が増えています。

     

    こうした検知ギャップを埋めるため、三菱UFJ銀行ではグローバルCoEの一つとして脅威ハンティング態勢を整備し、SOC、IR、脅威インテリジェンス、レッドチームなどの関連組織と連携しながら、仮説ベースのハンティングを推進しています。

     

    運用面では、定期ハンティングとアドホックハンティングを組み合わせ、検知ルールや運用プロセスへの還元を通じて、組織全体のセキュリティレベル向上につなげていることが示されました。瀬古様・湯下様は、脅威ハンティングを効果的に機能させるには、技術的な取り組みだけではなく、組織設計や継続的な運用が重要であると説明しました。

    瀬古 敏智様(三菱UFJ銀行)

    三菱UFJ銀行 瀬古様

    湯下 渓子様(三菱UFJ銀行)

    三菱UFJ銀行 湯下様

    NRIセキュアによるセッション

    セッション1 2030年の金融サイバー脅威とAI時代のガバナンス 

    グローバル・リサーチコンサルティング部の木村匠より、2030年を見据え、金融業界が直面し得るサイバー脅威とその対応について解説しました。サイバーセキュリティの未来を読み解くことの難しさに触れつつ、金融機関が中長期的な視点で脅威を捉える重要性を説明しました。

     

    フロンティアAIをはじめとするエマージングテクノロジーの進展を踏まえ、将来のリスクを冷静に見極め、今から備えるべき考え方や「ちょうどいい」ガバナンスのあり方を紹介しました。

     

     サイバーセキュリティの観点から着目すべきエマージングテクノロジー

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    木村 匠(NRIセキュア)

    NRIセキュア 木村 匠

    セッション2 CRI Profileの活用と金融サイバーリスク管理の高度化

    Cyber Risk Institute CEOのJoshua Magri様と金融セキュリティコンサルティング部の馬場亮太より、金融機関がサイバーリスク管理を高度化するうえで、CRI(Cyber Risk Institute)をどのように活用できるかについて、実務的な観点から解説しました。

     

    Joshua Magri様からは、CRIのミッションや活動状況、CRI Profileの成り立ちと活用方法についてご紹介いただきました。NIST CSFをベースに金融業界向けへ最適化されたCRI Profileに加え、AIリスク管理フレームワークや今後のロードマップ、日本語化を含む各国展開についてもお話しいただきました。

     

    馬場からは、CRIおよびCRIが提供する各種フレームワークの概要を解説しました。各種フレームワークの特徴に加え、日本におけるCRI普及活動、国内金融機関から寄せられる相談内容についても紹介しました。

     

     CRIが提供する3つのリスク管理フレームワークの概要と評価対象
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    Joshua Magri様(Cyber Risk Institute Chief Executive Officer )

    Cyber Risk Institute CEOのJoshua Magri様

    馬場 亮太(NRIセキュア)

    NRIセキュア 馬場 亮太

    セッション3 金融機関のサードパーティ・リスク管理|実効性を高める4ステップ 

    サイバーレジリエンスコンサルティング部の赤坂雄大より、サードパーティ管理が経営課題となっている背景や、金融機関が実効性のあるサードパーティ管理を進めるための実務上のポイントについて、解説しました。

     

    サプライチェーン攻撃の増加により、サードパーティ管理の重要性が高まる現状を整理。さらに、管理対象の特定、リスク評価、契約条項の見直し、継続的なモニタリングの4ステップを軸に、金融機関に求められる実践的なサードパーティ・リスク管理プロセスをお伝えしました。

     サードパーティ・リスク管理プロセスの4ステップ 

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    赤坂 雄大(NRIセキュア)

    NRIセキュア 赤坂 雄大

     懇親会|登壇者・参加者・NRIセキュア社員の交流の場 

    講演終了後は、登壇者・参加者・NRIセキュア社員が一堂に会する懇親会を開催しました。懇親会では、クイズ大会やじゃんけん大会を実施し、会場は終始和やかな雰囲気に包まれました。

     

    また、お客様同士、ならびにお客様とNRIセキュア社員の間で、名刺交換や意見交換が活発に行われました。講演やパネルディスカッションで取り上げたテーマをきっかけに、各社の課題感や今後の取り組みについて具体的な対話が生まれ、参加者にとって実りある交流の場となりました。

    懇親会

    懇親会

     さいごに|AI時代の金融サイバーセキュリティに求められる姿勢 

    今回の「NRI Secure Finance Forum 2026」では、高度化するサイバー攻撃やAIの急速な進展、サードパーティリスクの拡大など、金融機関の現場課題をテーマに、金融サイバーセキュリティの現在地と今後の方向性について多角的に解説・議論しました。

     

    理想と現実のギャップに向き合いながらも、現場で運用できる形に落とし込み、組織横断で対応力を高めていく必要性が改めて示されました。技術の進展に振り回されるのではなく、リスクを冷静に見極め、事業や業務の実態に即したセキュリティ態勢を整備していくことが、これからの金融機関に求められています。

     

    NRIセキュアでは、今後も金融機関をはじめとする企業の皆さまに向けて、サイバーセキュリティに関する最新動向や実務に役立つ知見を発信するとともに、実効性の高いセキュリティ強化を引き続きご支援してまいります。

     開催概要|NRI Secure Finance Forum 2026 

    NRI Secure Finance Forum 2026

    主催:NRIセキュアテクノロジーズ株式会社

    日時:2026年6月26日(金) 15:00~19:30

    会場:東京ステーションホテル 宴会場「鳳凰」