EN

NRIセキュア ブログ

DSPMとは?ゼロトラスト時代に求められるデータセキュリティの新戦略

目次

    DSPMとは?相次ぐ個人情報・機密情報の漏洩をどう防ぐか

    クラウドサービスの利用が急速に進む中、「自社の個人情報や機密情報がどこに保存されているのか、正しく保管・管理されているのか」を正確に把握することが難しくなっています。その結果、システム担当や経営層、コンプライアンス部門の中には「正しくデータ管理ができているのか?」と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

     

    実際、個人情報や機密情報の不正持ち出し・持ち込みに関するセキュリティインシデントは後を絶ちません。本記事では、こうした課題を解決する新しいアプローチであるDSPM(Data Security Posture Management:データセキュリティ態勢管理)について解説します。

    なぜ今DSPMが注目されているのか?

    AI活用が進む中で、データ管理の重要性はますます高まっていますが、従来の境界型セキュリティではオンプレミスやクラウド、SaaSに分散するデータを守りきれません。ゼロトラストの考え方が浸透する中で、「データそのものを守る」という発想が求められています。

     

    しかし現実には、下記のような問題が発生しています。

    • クラウド利用が先行し、厳格なデータ管理ルールが未整備
    • データ管理ルールは存在するが、守られておらずリスクのある保管方法になっている
    • どこに個人情報・機密情報が保存されているのか把握できない
    • 権限設定の不備や誤った外部共有による情報漏洩
    • インシデントが発生した場合、該当データの保存先を特定する仕組みがない

    こうした背景から、データの所在・リスクを可視化し、継続的に管理するDSPMが必要とされています。

    DSPMとは?DLPとの違い

    DSPM(Data Security Posture Management)は、オンプレミスやクラウドに散在するデータ資産を下記機能で管理するソリューションです。

    • 自動でデータを発見(シャドーデータ含む)
    • データのカタログ化(一元管理して可視化)
    • 分類・リスク評価
    • 重複するデータの削除(コスト削減)
    • アクセス権限の分析・最適化
    • 異常なデータアクセスの検出

     

    一方、DLP(Data Loss Prevention)は、データの持ち出しや漏洩をリアルタイムで防ぐ仕組みで、SASEやCASB、SEGなどと連携して動作します。DLPは「安全な領域にデータがあること」を前提に、その領域から出ていくデータをチェックしますが、DSPMは既に存在するデータを可視化しリスクを把握できる違いがあります。
    (例:機密情報はファイルサーバで管理するルールであるにも関わらず、既にOneDriveなどに保存されてしまっている場合はDLPでは対応できません。DSPMでは可視化とポスチャー管理ができます。)


    違いを一言で言うと、DLPは「流出防止」に重点を置いた製品、DSPMは「データの全体把握と態勢管理」に重点を置いた製品になります。

    DSPMでできること

    データの自動検出と分類

    • 構造化・非構造化データを問わず、個人情報(PII)や機密情報を自動検出
      (例:マイナンバー、クレジットカード番号、AWSキー、GitHubトークン)
    • OutlookやOneDrive、TeamsなどのMicrosoft365やSalesforce、Slack、BoxなどのSaaSサービスに対して自動スキャン可能
    • オンプレファイルサーバー、データベースに対してスキャナーを用いた自動スキャンが可能

    リスク評価と可視化

    • 保存場所、アクセス権限、暗号化状態を分析し、リスクスコアを算出
    • 外部共有や過剰権限を可視化

    自動対応と連携

    • JiraやServiceNowなどのプロジェクト管理ツール連携により、チケットを自動生成
    • SOARやSIEMと連携し、アクセス権剥奪などの自動修復

    コンプライアンス対応

    • 改正個人情報保護法(APPI)、GDPR、CCPAなどへの準拠状況を可視化

    インシデント発生時の調査

    • 特定のデータの保存先を一覧にして可視化、レポート出力

    まとめ

    DSPMは、オンプレミスとクラウドの両方でデータ管理が必要な時代のデータセキュリティにおいて、「どこに、どんなデータが、どのように扱われているか」を把握するための強力なツールです。

     

    不正なデータ持ち出し・持ち込みを防ぐには、人の行動だけでなく、データそのものの動きを監視することが不可欠となり、DSPMはデータの所在把握とセキュリティ態勢の最適化を実現します。

     

     

    <NRIセキュアによるDSPM導入支援>

    NRIセキュアでは、DSPMソリューション「BigIDの取り扱いを行っています。BigIDは、クラウドやオンプレミスに散在するデータを一元管理し、個人情報や機密情報の検出・分類・リスク評価を高精度に実現する製品です。

     

    日本の個人情報保護法やGDPRなどの主要なプライバシー法規制にも対応しており、企業のデータセキュリティ態勢強化を強力にサポートします。データセキュリティに関するお悩みや、DSPM導入のご相談をお待ちしています。詳細は以下のページをご覧ください。


    DSPMソリューション BigID | NRIセキュア