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DSPMとは?ゼロトラスト時代に求められるデータセキュリティの新戦略

作成者: 代田 晃基|2025/10/22

クラウドサービスの利用が急速に進む中、「自社の個人情報や機密情報がどこに保存されているのか、正しく保管・管理されているのか」を正確に把握することが難しくなっています。その結果、システム担当や経営層、コンプライアンス部門の中には「正しくデータ管理ができているのか?」と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

 

実際、個人情報や機密情報の不正持ち出し・持ち込みに関するセキュリティインシデントは後を絶ちません。本記事では、こうした課題を解決する新しいアプローチであるDSPM(Data Security Posture Management:データセキュリティ態勢管理)について解説します。

なぜ今DSPMが注目されているのか?

AI活用が進む中で、データ管理の重要性はますます高まっていますが、従来の境界型セキュリティではオンプレミスやクラウド、SaaSに分散するデータを守りきれません。ゼロトラストの考え方が浸透する中で、「データそのものを守る」という発想が求められています。

 

しかし現実には、下記のような問題が発生しています。

  • クラウド利用が先行し、厳格なデータ管理ルールが未整備
  • データ管理ルールは存在するが、守られておらずリスクのある保管方法になっている
  • どこに個人情報・機密情報が保存されているのか把握できない
  • 権限設定の不備や誤った外部共有による情報漏洩
  • インシデントが発生した場合、該当データの保存先を特定する仕組みがない

こうした背景から、データの所在・リスクを可視化し、継続的に管理するDSPMが必要とされています。

DSPMとは?DLPとの違い

DSPM(Data Security Posture Management)は、オンプレミスやクラウドに散在するデータ資産を下記機能で管理するソリューションです。

  • 自動でデータを発見(シャドーデータ含む)
  • データのカタログ化(一元管理して可視化)
  • 分類・リスク評価
  • 重複するデータの削除(コスト削減)
  • アクセス権限の分析・最適化
  • 異常なデータアクセスの検出

 

一方、DLP(Data Loss Prevention)は、データの持ち出しや漏洩をリアルタイムで防ぐ仕組みで、SASEやCASB、SEGなどと連携して動作します。DLPは「安全な領域にデータがあること」を前提に、その領域から出ていくデータをチェックしますが、DSPMは既に存在するデータを可視化しリスクを把握できる違いがあります。
(例:機密情報はファイルサーバで管理するルールであるにも関わらず、既にOneDriveなどに保存されてしまっている場合はDLPでは対応できません。DSPMでは可視化とポスチャー管理ができます。)


違いを一言で言うと、DLPは「流出防止」に重点を置いた製品、DSPMは「データの全体把握と態勢管理」に重点を置いた製品になります。

DSPMでできること

データの自動検出と分類

  • 構造化・非構造化データを問わず、個人情報(PII)や機密情報を自動検出
    (例:マイナンバー、クレジットカード番号、AWSキー、GitHubトークン)
  • OutlookやOneDrive、TeamsなどのMicrosoft365やSalesforce、Slack、BoxなどのSaaSサービスに対して自動スキャン可能
  • オンプレファイルサーバー、データベースに対してスキャナーを用いた自動スキャンが可能

リスク評価と可視化

  • 保存場所、アクセス権限、暗号化状態を分析し、リスクスコアを算出
  • 外部共有や過剰権限を可視化

自動対応と連携

  • JiraやServiceNowなどのプロジェクト管理ツール連携により、チケットを自動生成
  • SOARやSIEMと連携し、アクセス権剥奪などの自動修復

コンプライアンス対応

  • 改正個人情報保護法(APPI)、GDPR、CCPAなどへの準拠状況を可視化

インシデント発生時の調査

  • 特定のデータの保存先を一覧にして可視化、レポート出力

まとめ

DSPMは、オンプレミスとクラウドの両方でデータ管理が必要な時代のデータセキュリティにおいて、「どこに、どんなデータが、どのように扱われているか」を把握するための強力なツールです。

 

不正なデータ持ち出し・持ち込みを防ぐには、人の行動だけでなく、データそのものの動きを監視することが不可欠となり、DSPMはデータの所在把握とセキュリティ態勢の最適化を実現します。

 

 

<NRIセキュアによるDSPM導入支援>

NRIセキュアでは、DSPMソリューション「BigIDの取り扱いを行っています。BigIDは、クラウドやオンプレミスに散在するデータを一元管理し、個人情報や機密情報の検出・分類・リスク評価を高精度に実現する製品です。

 

日本の個人情報保護法やGDPRなどの主要なプライバシー法規制にも対応しており、企業のデータセキュリティ態勢強化を強力にサポートします。データセキュリティに関するお悩みや、DSPM導入のご相談をお待ちしています。詳細は以下のページをご覧ください。


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