DSPM(Data Security Posture Management、データセキュリティ態勢管理)は、企業や組織が保有する複雑化するデータを安全に管理し、リスクを低減させるための戦略的なアプローチとして、クラウド環境やデータ環境におけるセキュリティを強化するために設計されたもので、CNAPPの構成要素の一つです。
DSPMは、データが適切なセキュリティ対策を受けているかどうかを判断するために、組織内のデータを検出および分類し、データの位置情報、アクセス権限、暗号化の状態、共有の有無といった詳細な情報を包括的に監視します。リスクが検出された場合には、管理者にアラートを通知し、具体的な改善策を提示することで、リスクを最小限に抑えることが可能になります。
また、データの取り扱いに関して、GDPRやCCPAなどの規制を遵守するためのガイドラインも提供されることが多く、コンプライアンス対応の支援も行います。これにより、セキュリティと法的要件の両立が容易になります。
その一方で、DSPMには今後解決すべき課題もあります。まず、膨大な量のデータを扱う中で、適切なアラートの発信や通知が重要となりますが、誤検知や過剰な通知が頻発すると、セキュリティ担当者の負担が増え、効果的な対応が難しくなる可能性があります。また、クラウドやオンプレミスのデータ環境にまたがる複雑なシステムに対して、統一的な管理を行うことが求められるため、導入や運用には高い技術力と十分なリソースが必要です。
とはいえ、クラウド環境の拡大とともに、データのセキュリティリスクも複雑化しているため、今後のデータ管理において、DSPMはますます重要な役割を果たすことが予想されます。DSPMは単なるソリューションの導入にとどまらず、データを中心にしたセキュリティ戦略を組み立てるための重要な一歩となるでしょう。