前回は、AIエージェントシステムのセキュリティにおいて、従来のリリース直前のセキュリティ診断やリリース後の監視だけでは限界があり、設計段階からセキュリティを組み込む「Shift Left」アプローチが不可欠であることを解説しました。しかし、セキュアな設計パターンを理解し、OWASP等のフレームワークを適切に活用し、効果的な脅威モデリングを実施するには、高度な専門知識に加え、豊富なセキュリティ経験が必要です。
本稿では、この課題に対する実践的なソリューションとして、NRIセキュアテクノロジーズが提供する「AI Yellow Team(AYT)」サービスをご紹介します。
AIエージェントシステムの脅威モデリングを内製で実施しようとすると、以下のような課題に直面します。
これらの要因により、多くの企業にとって効果的な脅威モデリングの実施は困難な状況となっています。
このような高い専門性を要する脅威モデリングを、すべての企業が内製で実施することは現実的ではありません。NRIセキュアテクノロジーズは、長年のセキュリティ診断/監視/コンサルティングの実績とAIシステムへの深い知見を活かし、AIエージェント特有の脅威に対応する専門サービス「AI Yellow Team(AI エージェント脅威モデリングサービス)」を開発いたしました。
本サービスは、従来のセキュリティサービス提供で培った経験に加え、以下の独自の知見を統合的に活用します。
これらの多角的なアプローチにより、理論だけでは得られない実践的な脅威モデリングを提供いたします。
AI Yellow Teamは、AIエージェントシステムの設計段階で、セキュリティ確保を支援するサービスです。
AI Yellow Teamは、設計フェーズで脅威モデリングを実施し、以下のサービスと連携してセキュリティを確保します。
これら3つのサービスが連携することで、AIエージェントシステムの包括的なセキュリティを実現します。
AI Yellow Teamは、以下の4つのステップで脅威モデリングを実施します。
AI Yellow Teamでは、以下の成果物を提供します。これらの成果物はプロジェクトの規模や内容、お客様のニーズに合わせてカスタマイズ可能です。
第7回で述べたように、NISTのレポートでは設計段階での修正コストは本番環境での修正と比較して30分の1で済むとされています。AIエージェントシステムでは、以下の要因によりこのコスト差はさらに拡大します。
本ブログシリーズを通じて、AIエージェントシステムがもたらす革新的な価値と、それに伴う新たなセキュリティ課題について解説してきました。
AI Yellow Teamは、この新たなセキュリティパラダイムに対応するため、専門的な脅威モデリングを通じて企業のAIエージェント活用を支援します。従来の「検知と対応」から「設計と予防」へ、セキュリティアプローチの転換が求められています。
AIエージェントは、もはや「便利なツール」の域を超え、企業の競争力を左右する戦略的資産となりつつあります。その安全な活用には、新たなセキュリティアプローチが不可欠です。AI Yellow Teamは、企業がAIエージェントの持つ可能性を最大限に引き出しながら、リスクを適切に管理できるよう支援します。
<関連サービス>
AI Yellow Team|AI エージェント脅威モデリングサービス
<連載:AIエージェントのセキュリティ>
第1回 AIエージェント時代のセキュリティ設計|脅威の73%は検知困難、見えないリスクの本質とは?
第2回 AIエージェントプロトコルの進化が招く“見えない攻撃面”|MCPとA2Aがもたらす新たなリスクとは?
第3回 AIエージェントを脅かす15の脅威|OWASP脅威分析が示す「検知困難な攻撃」とは?
第4回 単独AIエージェントに仕掛けられる3つの脅威|記憶・判断・信頼への“点の攻撃”
第5回 AIマルチエージェントに仕掛けられる新たな脅威|信頼メカニズムを突く"面の攻撃"
第6回 実例で読み解くAIエージェントの脆弱性|便利さの裏に潜む危機とは?
第7回 AIエージェントのセキュリティに『Shift Left』が必須な理由|従来型セキュリティの構造的限界
第8回 AIエージェントの脅威は設計で防ぐ|AI Yellow Teamによる脅威モデリングサービス解説