分散型ID(DID:Decentralized Identity)とは、ユーザーの認証情報を管理するIDプロバイダーなどのシステムに過度に依存せず、サービスを利用するユーザー自身によるデジタルアイデンティティ情報の管理を実現することを目的とするIDの仕組みのことです。
昨今プライバシー保護の重要性やセキュリティの向上に対する意識から、分散型IDが注目されています。
これまでの中央集権的なID管理では、個人情報がIDプロバイダーにより一元管理されていましたが、分散型ID管理では、ユーザーが自分の情報をコントロールすることでプライバシー保護の強化を図り、情報漏えいのリスクを低減させます。加えて、実現にあたりブロックチェーン等の分散リポジトリを活用することでデータの改ざんを防ぎ、セキュリティを担保するケースが多くみられます。
一方で、ユーザー自身がIDを管理するため、秘密鍵の紛失などによるアクセス権の喪失リスクがあり、ユーザーにも責任が生じることがあります。
分散型IDは、プライバシー保護に寄与する一方で、ユーザー自身の管理能力が求められる技術でもあります。今後、ユースケースの整理や利用にあたってのガイドライン等が整備されることが期待されています。